Ⅱ章 治療法
G胃癌術後フォローアップ(CQ17)
胃切除後の生活指導および胃切除後症候群に対する治療を行い,再発や二次癌の早期発見のために,再発リスクに応じて計画的にフォローアップが施行されているが,術後フォローアップを行うことにより延命効果が期待できるとのエビデンスは乏しい(CQ17)77,78)。また,定期的な術後フォローアップ方法についての前向きの研究論文はないため,適切なフォローアップ検査やフォローアップ間隔についての根拠は乏しい。しかし,いくつかの後ろ向き研究から判断して,再発,残胃癌,重複癌の発見のためには,CT検査,腫瘍マーカー(CEA+CA19‒9),内視鏡検査が有用である。腫瘍マーカーは再発時に上昇し,画像診断より2~3カ月程度先行する可能性がある79)。また,再発・再燃時期の結果から,早期癌では図1,進行癌では図2のようにフォローアップすることを参考までに提示する。
術後は5年間のフォローアップを原則とするが,5年以降に再発や異時性多発癌が発見される場合もあることを念頭に80),自施設のみならず,紹介医,連携医,基本検診,職場検診や人間ドックなどの有効利用を個別に判断すべきである。
今後,術後の計画的なフォローアップが延命に寄与しているか否かについては科学的に検証していく必要がある。
術後(年月) | 1カ月 | 6カ月 | 1年 |
1年 6カ月 |
2年 |
2年 6カ月 |
3年 | 4年 | 5年 |
問診,診察, PS,体重 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
検査(末梢血, 生化学,CEA, CA19-9) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
CT and/or US | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
内視鏡 | ○ | ○ | ○ |
術後(年月) | 1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 9カ月 | 1年 | 1年3カ月 | 1年6カ月 | 1年9カ月 | 2年 | 2年6カ月 | 3年 | 3年6カ月 | 4年 | 4年6カ月 | 5年 |
問診, 診察, PS,体重 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
検査(末梢血, 生化学,CEA, CA19-9) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
CT and/or US | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
内視鏡 | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
術後補助化学療法 | 1年間 or 6カ月 |