胃癌治療ガイドライン 医師用2021年7月改訂 第6版

Ⅱ章 治療法

G胃癌術後フォローアップCQ17

 胃切除後の生活指導および胃切除後症候群に対する治療を行い,再発や二次癌の早期発見のために,再発リスクに応じて計画的にフォローアップが施行されているが,術後フォローアップを行うことにより延命効果が期待できるとのエビデンスは乏しいCQ1777,78)。また,定期的な術後フォローアップ方法についての前向きの研究論文はないため,適切なフォローアップ検査やフォローアップ間隔についての根拠は乏しい。しかし,いくつかの後ろ向き研究から判断して,再発,残胃癌,重複癌の発見のためには,CT検査,腫瘍マーカー(CEA+CA19‒9),内視鏡検査が有用である。腫瘍マーカーは再発時に上昇し,画像診断より2~3カ月程度先行する可能性がある79)。また,再発・再燃時期の結果から,早期癌では図1,進行癌では図2のようにフォローアップすることを参考までに提示する。

 術後は5年間のフォローアップを原則とするが,5年以降に再発や異時性多発癌が発見される場合もあることを念頭に80),自施設のみならず,紹介医,連携医,基本検診,職場検診や人間ドックなどの有効利用を個別に判断すべきである。

 今後,術後の計画的なフォローアップが延命に寄与しているか否かについては科学的に検証していく必要がある。


術後(年月) 1カ月 6カ月 1年 1年
6カ月
2年 2年
6カ月
3年 4年 5年
問診,診察,
PS,体重
検査(末梢血,
生化学,CEA,
CA19-9)
CT and/or US
内視鏡

*必要時に施行:胸部X線,残胃造影,大腸造影,大腸内視鏡,骨シンチ,PET-CT

*5年以降は施設や検査間隔は個別に判断する。

図1 StageⅠ胃癌に対するR0術後フォローアップ


術後(年月) 1カ月 3カ月 6カ月 9カ月 1年 1年3カ月 1年6カ月 1年9カ月 2年 2年6カ月 3年 3年6カ月 4年 4年6カ月 5年
問診,
診察,
PS,体重
検査(末梢血,
生化学,CEA,
CA19-9)
CT and/or US
内視鏡
術後補助化学療法 1年間 or 6カ月

*必要時に施行:胸部X線,残胃造影,大腸造影,大腸内視鏡,骨シンチ,PET-CT

*5年以降は施設や検査間隔は個別に判断する。

図2 StageⅡ-Ⅲ胃癌に対するR0切除後フォローアップ


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