Ⅱ章 治療法
胃切除後の生活指導および胃切除後症候群に対する治療を行い,再発や二次癌の早期発見のために,再発リスクに応じて計画的にフォローアップが施行されているが,術後フォローアップを行うことにより延命効果が期待できるとのエビデンスは乏しい。また,定期的な術後フォローアップ方法についての前向きの研究論文はないため,適切なフォローアップ検査やフォローアップ間隔についての根拠は乏しい。しかし,いくつかの後方視的研究から判断して,再発,残胃癌,重複癌の発見のためには,CT検査,腫瘍マーカー(CEA+CA19-9),内視鏡検査が有用である。腫瘍マーカーは再発時に上昇し,画像診断より2~3カ月程度先行する可能性がある。また,再発・再燃時期の結果から,早期癌では図10,進行癌では図11のようにフォローアップすることを参考までに提示する。
術後は5年間のフォローアップを原則とし,5年以降は紹介医,連携医,基本検診,職場検診や人間ドックを有効利用することとした。時期を同じくして,がん診療における医療機関の役割分担の推進,がん医療の質の保証と安全の確保を目的にがん診療の地域連携と均てん化の整備が進められている。
今後,術後の計画的なフォローアップが延命に寄与しているか否かについては科学的に検証していく必要がある。
図 10 Stage Ⅰ胃癌に対するR0術後フォローアップ
*必要時に施行:胸部X線,残胃造影,注腸,大腸内視鏡,骨シンチ,PET-CT
*5年後以降は基本検診,職場検診や人間ドックを有効利用する
図 11 Stage Ⅱ-Ⅲ胃癌に対するR0術後フォローアップ
*必要時に施行:胸部X線,残胃造影,注腸,大腸内視鏡,骨シンチ,PET-CT
*5年後以降は基本検診,職場検診や人間ドックを有効利用する